さあっ候補生さま、“王霊討伐”の時間です

MF文庫j

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あらすじ

「うんうんっ! ボクが選んだ人は──あっ!」
死者が蘇るようになった現代。異形の姿となり被害を齎す死者は『悪霊』と呼ばれるようになった。一方『善霊』と呼ばれ生前偉大な功績を残した死者もおり、特別な能力を生者に与えた。かつて悪霊による世界的な集団失踪事件『異界事変』で母を失った穂羽天理は、善霊から赤光を纏う長剣型の霊器を授けられ、この世界を壊してしまった悪霊の王――『王霊』を討伐するための候補生となる。
そんな彼女の前に善霊リシアと殺し屋を名乗る浅江遥斗が現れる。周囲と馴れ合わず、防衛省、自衛隊の指示に遥斗が従わない中、天理の最初の悪霊討伐――異界攻略作戦が開始される。


おすすめ度:★★★★


感想


 ・・・タイトルや表紙に騙された感もあるほどの【ドシリアス】作品!!!

 最近の作品なら登場人物もどんなに見繕っても男女比6:4くらいにはなると思うのですが、本作で登場する女性は何と驚きの2人!!?

 それ以外の登場キャラは全員男!!!

 さらに言えばサービスシーンなんて甘いシーンもなし!!!

 あるのはただただ燦然たるシリアスシーンが続くというもの。

 ですが、それらが本作の雰囲気に本当にあっているので悲しいことにとても面白かったのも事実です。

 【偉人】の功績を”異能”の力として振るい『悪霊』を倒すという形は違えど結構ありきたりな設定ではあるのですが、『悪霊』のギミックや【偉人】に対する深堀がすごい!!!

 『悪霊』は自身を守るため、そして何より人を”狩る”ため自分の縄張りに幾重にも罠を張り巡らせ、それらの罠を解析する様子や『悪霊』の姿などとても考えられているのもポイント。

 そして最も力が入っているであろう点は【偉人】について。

 聞いたことがある【偉人】もいれば聞いたことが無いような【偉人】に至るまで、それぞれの【偉人】がどのような功績を持っていたのか、どのような行動をし、歴史にその”名”を刻んだのか、とてもよく調べらていました。

 そこから興味を持ってさらに深いところまで調べるのも面白いと思いますし、授業では語られないところまで語られるので、とても興味深かったです。

 登場するキャラの人間味もとてもよく出ていたし、設定も内容もちょっと難しいよりかもしれませんが、とても面白かったので、是非読んでみてほしい一冊ですし、今後どのような【偉人】が登場し、その【偉人】に対してどのような力を与えるのか楽しみです。

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