俺と妹の血、つながってませんでした

ファンタジア文庫

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あらすじ

「なにしたっていいんだよ。私たち、兄妹なんだから」
妹の久留里は超絶ブラコンだ。
俺と目が合うたび抱き着いてくるし、
膝に乗ることや手をつなぐことをいつも狙っている。
「えへへ。お兄ちゃん。大好き!」
にへっと笑う久留里が俺と同じ高校に入学した日の深夜。
両親から俺は、妹自身も知らない衝撃的な真実を告げられる。
「光雪くんと久留里ちゃんは、血がつながってないんだ」
え、俺と久留里が義理の兄妹なの!? それはヤバい――
「お兄ちゃんと血がつながってなかったら……結婚するよ!」
俺の妹は、常々こんなことを言うやつなのだ!
え、俺と久留里が義理の兄妹なの!? それはヤバい――
「お兄ちゃんと血がつながってなかったら……結婚するよ!」
俺の妹は、常々こんなことを言うやつなのだ!


おすすめ度:★★★★★


感想


 思った以上に考えさせられた作品。

 作品の考察というよりも、その『テーマ』が結構重い。

 読んでいる最中はとても面白かったのですが、所々でまるでこちらに問いかけてくるようなその『テーマ』に何とも言えなくなります。

 もちろんそんなものを意識せず読んでもとても面白いのですが、自分なりの『答え』や『疑問』を持ちながら読むとまた違った形に見えます。

 ラストは結構衝撃で、本当にこれで終わり?とあとがきも含めて何回か見直しました。

 それほど衝撃のラストで、とても続きが読みたい作品。

 内容はほぼタイトル通りで、世間一般の”兄妹”よりも仲がいいブラコンとシスコンが一つの”真実”を知ったことから今までの行動に疑問を覚え、秘密を隠し通そうとする姿は他の作品とはちょっとベクトルの違いが見えます。

 もちろん、その家の兄妹で関係の違いはあるが、『世間一般』に当てはめるとどうなるかという問。

 このタイプの問は基本的に正解は無いですが、そんな問いかけをひたすらされる作品で、主人公である光雪の葛藤がすさまじくなっているが、兄としてその葛藤は正解なのだと思います。

 今まで通りだと行き過ぎた関係に感じ、逆に冷たくし過ぎると何かあったと感づかれる…

 けれども、『世間一般』という思い込み、しがらみの中でどの程度の距離を保てばいいのかというのは恐らく、長年過ごしてきた”結果”だと思うので、そういった部分も考えながら読むとなかなか面白い。

 そして冒頭でも書きましたが、ラストが切ない。

 そこに至る経緯はとても単純であり、そこだけ切り抜けば本当に”偶然”…

 ラストを飾るイラストはいったいどのような想いを込めたのか…

 切なく、儚い印象を受けましたが、その胸中を知りえることはありません。

 この作品を読んでラストのイラストでいったいあなたはどのような感想を得るのか…

 きっとその感情がきっと本作に対する感想になると思います。

 あのラストのイラストは本当に必見なので、是非読んでみてください。

 一人でも本作の『テーマ』について真剣に考えるきっかけになると嬉しいです。

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