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あらすじ
なにが青春だ。どいつもこいつも、恋だの部活だの遊びだの、楽しそうにしやがって。俺には友達もいない。恋人もいない。部活にだって入ってない。青春なんて無縁だ。だけど、それのなにが悪いんだ!?そんなくだらないものをありがたがっている奴らも、俺を見下すような奴らも、全員くそだっ。そう思っていた。彼女に出会うまでは。誰もいない昇降口。壊れた下駄箱。汚れた階段。床が抜けそうな木張りの廊下。そんな古びた旧校舎の三階の一番奥に、秘密の部屋があった。黒い三角帽子とローブを身に着けた冥先輩は、床に魔方陣を描き、黒魔術で人を呪うことに余念がない。耳にかかる艷やかな髪をかきあげ、海のように澄んだ大きな瞳で、はにかみながら彼女は俺に言う。「呪っちゃうからね」空が青く澄みわたり、桜舞う春。入学したばかりの高校で出会った彼女の笑顔を、大人になった今も俺は忘れられない。聖女と崇められる先輩と出会ったことで、かけがえのない青春を送ることになる、ある高校生の物語ーー。
おススメ度:★★★★
ほのぼのとした特殊な部活の活動によって過去の出来事から”1人”を愛する主人公と、聖女と崇められ、協会の娘であるにも関わらっず『黒魔術』に酔狂する先輩、そして、”天才”ゆえに孤独になってしまっている少女の3人が送る青春の物語。
ラブコメの要素は少なく、シリアスメイン+平穏な作品で、好みが合わなければ合わないかと。
主人公の回想がメインとなっており、回想に入る直前までプロポーズをするところから始まりますが、その相手に関しても明言はされていませんが、恐らく2人のうちどちらかだとは思うのですが、そこも含めて今後に期待できる展開です。
過去の出来事から”独り”をこよなく愛するようになるというのは他作品でもいますし、本作ではさらに徹底してほかの人の”印象”に残らないように行動するという驚きの行動を…
平坦な話し方や多くの人がするような自己紹介やスピーチといった周囲の人への”印象”を希薄にすることによって完全に”独り”という状況を作りだしていることに。
そんな彼を見出した本作のヒロインの一人、冥と出会うことで今までの生活とは一風変わったものに。
そこから始まる学校非公認の部活動が開始しますが、序盤は基本的には出会いを詳細に書かれ、物語全体がとても細かく描写されているのも特徴です。
描写が細かいので展開自体はゆっくりですが、その分濃い内容になっているので、そういう展開が好きな人はとても好きな作品かと。
部活の内容は『黒魔術を使った人助け』ですが、相談内容から解決策までもしっかりと考えられ、現実でも実行できそうな計画を練って相談内容を解決するその手腕はすごいものも。
ただ、今回の相談内容と解決方法が今後どのような問題を引き起こすのかも注目していきたいポイント。
『黒魔術』というクリスチャンにとってはタブーと言ってもいいものに手を出したことで冥自身窮地に立たされる展開にもなっていますが、そこに至るまでの経緯もあり得る展開なのはよかったですが、心境的にはちょっと納得できない展開に…
”親友”を信じて、自身の”秘密”を打ち明けた冥の心を踏みにじるかのような展開自体は物語の都合上必要なことだともわかっていますが、自分の通っている”学校”がどのような場所なのかをしっかりと把握していればその結果もわかってくると思うのですが…
その結果”聖女”という理想を押し付けられていた冥の評判は暴落し、全員が全員好意を抱いているわけではなく、一定数は必ずアンチと呼ばれる人間がいることはどのような場所でも一緒で、さらに、悪い噂というのは周囲に伝わるスピードが恐ろしく早いですからね…
それでも彼女自身”親友”を疑うことなく、自らの”罪”に向き合う姿はまさに”聖女”と言っても過言ではなかったと思います。
今巻では彼女たちとの出会いと、そこから活動の開始、そして冥の事件を通じて仲間意識を強固なものにするという展開自体はとてもわかりやすく読みやすかったです。
最初に冥が行っていた『黒魔術』が最初に明言していたものではなく、ほかのものだったのですが、いったい彼女はいつから彼を見ていたのか。
『黒魔術』と『呪い』を通してつながる今後の展開にとても期待の作品です。