彼女の“適切な距離(ソーシャルディスタンス)”が近すぎる

GA文庫

こんにちは♪

本日の一冊はこちら(*’▽’)

あらすじ

「いいこと考えちゃった。蔵木くん、私の彼氏になってくれない?」

ある日、蔵木夕市のクラスに一人の可愛いギャルが転校してくる。

佐柳凪咲。恋バナが好きで、明るく気さく。胸も大きい。そして「オタクにも優しいギャル」。

だが夕市は偶然ーー彼女の隠していた秘密を知ってしまう。

凪咲は【人と人との距離】が広がってしまったこの時代に、“新しい恋愛様式”を流行らせようとやってきたエージェント。

秘密を知ってしまった夕市は、彼女に恋人として指名され、付き合う事になってしまいーー!?

くっつきたがりなギャルと始める、【恋の三密】ラブコメディ!


おススメ度:★★★★


 時事ネタを組み込んだラブコメで、以前読んだ『リモート授業になったらクラス1の美少女と同居することになった』とは時期が少々異なっていますが、こちらもうまく現在の状況とラブコメをリンクさせていると思います。

 『リモート授業』では緊急事態宣言が発令され、最も世間が敏感になっていた時期を、本作ではまさに現在のように気が緩みだし、なおかつ徐々に日常の風景が戻ってきている状況が近く、同じようなネタで違う状況なので、両方読んでみて、どのような状況の変化があったのかを読み比べてみるのも面白いと思います。

 本作では政府の依頼で『偽り』の恋人関係から、様々なイベントをこなすことで『偽り』から『本物』に変っていく様がよかったですね。

感染対策をしながらのラブコメ

 日常生活を徐々に取り戻しつつある中、感染症対策をしながらラブコメを展開していくというのもなかなかすごいものですね。

 ソーシャルディスタンスや消毒、マスクなどを気にしながらデートコースを選んだりする下りはまさに現在の状況にマッチしており、作中では飲食店や映画館などの複合施設に行くシーンも在りますが、最近のように結構人込みという状況から現在の気のゆるみというか”慣れ”が見て取れます。

 そんな中でどれだけ感染対策をしたデートをできるかという無理難題に頭を悩ませる二人には同情します…

 本作のメインとして『感染症対策』というのもあるので、そういうシーンも数多く登場しますし、前までは気にしすぎなほどに気にしていたころを彷彿とさせられますが、そのころの名残は残っていますし、彼らの行動にも一貫性があって読みやすかったです。

変わりゆく凪咲の心

 官僚の姉を助けるため、女子高から転校してきて、『姉のため』という”使命感”から行動を開始し、偶然から夕市との恋人関係を契約するという話の導入としてはわかりやすい状況。

 その後は、自分の役割を全うしようと夕市との仲を周囲に見せつけることで、『こんなご時世でも恋愛はいいもの』という意識を植え付けるためにわざと大げさな行動を取ることもしばしば。

 役割のために自分が苦手なことにも挑戦し、その行動をSNSに上げるなどインフルエンサーとしての行動も素晴らしくも、徐々にですがその行動と彼女の想いに齟齬が生じ始め、、、

 はじめは打算から始まった関係であっても常にくっつき、行動を共にし、周囲に『好き』だとどのような思いで口にしていれば”きっかけ”があれば”偽り”も”本物”に変るのは必然です。

 そして、その想いが”本物”になった時、当初の想いと、夕市への想いが天秤にかけられる事態が発生し、彼女の苦悩がとてもよく描かれており、二つの想いに板挟みにあっている状況がとても悩ましく見え、うまく彼女の心情が見える描写がされていたと思います。

最後に

 『感染症対策』をしながら学校に、商業施設にと本当に今の現状をうまく作品に取り入れつつラブコメとして成立させている作品だと思いました。

 二人の関係が進む速度が速い気はしないでもないですが、1冊の中である程度まで話を進めたり、打ち切りのことを考えると難しいところですね。

 本作ではそのほとんどが二人の関係を進めるために構成されているため、すごくわかりやすい形になっており、その速度感を考えれば特に違和感もない感じでしたね。

 次巻以降あるのであれば、今回夕市の想いを汲む形で凪咲にその立ち位置を譲った幼馴染がどうするか、今巻の様子を見るに好きは全然ないような気がしますが、それでも逆転を狙うならそれはそれで楽しみです。

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