想いの重なる楽園の戦場。そしてふたりは、武器をとった

ファンタジア文庫

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あらすじ

理想を追い求め、少女たちは刃を交わす。百合バトルファンタジー!
人助けを躊躇しない、お節介だけど明るい努力家――レーネ。
「この都市が好きなんだ――守るため、私は巫子になる」
孤高を貫きながら誰よりも先を走るクールな天才――セスカ。
「私は、この都市の外に出るために――巫子になりたい」
都市を愛するレーネと、都市の外を夢想するセスカ。
普段は同じ部屋で暮らしているふたりは、お互いを認めつつ、
それぞれの目的をもって千年都市の象徴である巫子を目指していた。
そして、巫子を決める最終決戦の、決勝。
その場には武器を持って向かい合うふたりの姿があり――。
努力家VS天才。少女たちが夢と理想を追い求める、百合バトルファンタジー!


おすすめ度:★★★★


感想


 リソースを消費し続ける閉鎖された都市で、それぞれの理想や信念をぶつけ合う少女たちの苦悩し、”未来”を掴む姿勢が素晴らしい作品。

 表向き幸せな毎日を送っている都市で、”巫女”と呼ばれる『代表』になるべく戦う少女たちだが、実際には巫女になる前よりなった後のほうが感覚的に長い。

 巫女の秘密、権力者たちの権力争い、枯渇するリソースという結構重く、また心を折ってくる内容が途中ありますが、その際の彼女たちの立ち位置の交換や、苦悩などしっかりした描写が◎

 今後都市の外に目を向けどのような旅になるのかとても楽しみ。

 物事を達観したように見据える少女と、そこに住まう”すべて”が好きな少女が”巫女”という最高の場所を競い合う物語かと思いながら序盤読んでいたら、まさかしょっぱなから巫女の最終選考…

 プロローグも相まってどういう成長をしていくのか楽しみだったのが、そういうのをすべて省いていきなり一つのクライマックス…

 もちろんメインの二人はいいのですが、きついのは最初のそれぞれの対戦相手。

 最後まで読めば物語のキーになる人物たちなのですが、登場から退場までが早く、あまりにも味気ないものだからただのモブかと…(その認識は最後まで覆らなかったです。)

 メインは巫女になってから…

 都市に隠された”秘密”と巫女の本当の”役割”を告げられ今までの理想が崩れ去り、心が折れるレーネとそんなレーネの些細な変化に気づき、彼女を元の場所へ引っ張ろうとするセスカのすれ違い。

 大好きだった都市そのものを人質に取られ、選択肢がない中それでも必死に”都市のため”に巫女としての責務を務めようとするレーネの心の動きも注目すべきところ。

 絶望しか無い中それでも”人”のためという自己犠牲。

 そして逆にレーネの笑顔のためなら都市がどうなろうといいというほどの思いを秘めたセスカ。

 考え方も想いも正反対の二人がぶつかり合い、お互いの気持ちをはっきりさせつつ、お互いがどれほど互いを思いあっているかも伝えあうのはとても素晴らしかったですし、ラストは綺麗な終わり方だったのもよかった。

 レーネとセスカの物語は綺麗な形で完成されていたので良かったのですが、問題は周囲ですね。

 二人のための舞台装置とはいえちょっと薄いか?

 都市の設定自体悪くないのですが、そこにまつわる権力争いを背景にするならもう少し濃くするかどこか別のところでやってほしい。

 保守派と改革派の内部抗争と思ったら、内外年月をかけて改革派も事なかれ主義みたいな感じに…

 さらに序盤でフェーズアウトしたにもかかわらず、二人の前に現れたと思ったら言いたい放題言ってすっきりして意識改革…???

 二人の姿を見ていたら~的な本来ならそこまでの過程があって初めて共感できるはずの思いが過程が無いため何言っているのかよくわからない…

 一応名家ということで家の都合で動いていたということはわかるのだが、ページ数の問題なのか、それとも二人を早々に旅立たせたいかだが、この部分はもう少し少なくてもよかったかと思えるところ。

 今後もこの二人の登場があるかは知らないが、せめて上下巻にして4人の人間関係や立場を詳細にしてほしいと思ってしまった…

 全体的に満足いく内容でしたし、壁に囲まれたところから外の世界に旅立った二人にどのような景色や交流が待っているのか今後が楽しみです。

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