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あらすじ
義妹・愛歌を受け入れた先にあるのは――背徳ラブコメ第二弾
俺は、カーストトップのリア充・星乃栞を彼女にしながら、義妹・愛歌とキスしてしまった。その日から、俺の不純な二重生活が始まった。
昼はリア充に囲まれ、美しい彼女とカフェや遊園地でデート。夜は言い訳をしながら可憐な義妹とスキンシップを重ねていく。やがて、二人からの愛情はエスカレートしていき……
『あおくん。これで私たち、永遠にいっしょだね』『でも私……あの女にどんな事情があったとしても、お兄ちゃんは譲らない』
そして、遂に二人を天秤に掛けなければいけなくなり――。最愛の彼女がいながら義妹と浮気する背徳ラブコメ第2巻。
おすすめ度:★★★★★
一言:”恋人”と”初恋”の間で揺れる蒼の苦悩がうまく表現されていてよかったです。
この作品タイトル回収できるの?
感想
前の巻で栞と恋人となるが、同時に愛歌からもアプローチを受けることになった蒼。
蒼のおかげで変わることができ、蒼にも自分の”世界”に来てもらいたいと『変化』を望む栞。
蒼と二人三脚で”夢”を追い続け、蒼にどこにも行ってほしくない『不変』を望む愛歌。
男性恐怖症で手をつなぐ以上の行為を行うことができない栞。
蒼の望むままにどこまでも身体を許してくれる愛歌。
どこまでも正反対の2人に挟まれた、とても歪な不道徳ラブコメ2巻ですが、今巻もとても面白かったです。
栞と付き合うことになり、スクールカーストの上位連中に目をつけられたことを発端とする、蒼の急激なイメチェンをきっかけに学園生活もともに変化していく蒼。
新しい”世界”を見ることでコスプレに生かせないかと自分のプラスになるように考えるも、その人がそれまでに築き上げてきた”本質”というものは外面とは別に急激に変化することはあり得ません。
栞は今の自分に”なる”ためにどれだけの時間を費やしてきたのか、恐らくですが初恋の相手である蒼と付き合え、気分も高揚していることからその大変さを忘れているのか、『自分もできたのだから蒼もできる』と本気で思っているのか…
確かに恋人を自分の好みに改造していき、周りから評価されるようになるのは気分がいいでしょう。
実際本作の学園は異常なほど『スクールカースト』という名のマウントの取り合いがひどいように思いますし、そんな中で評価されるということは蒼はもちろんですが、それをコーディネートした自分もまた再評価されるということ。
蒼と付き合えてうれしいという気持ちはもちろん本当だと思いますし、彼に尽くすことで手しか繋げない自分の愛を別の形で表現しようとしているのもわかりますが、どこかでやはり彼女もあの学園のイヤな思考に毒されているのかと…
昼間は栞の恋人として過ごし、夜は愛歌からの素直なアプローチを受け、2人の間を揺れる蒼。
栞とはいろんな所へデートを楽しみ、使っている金額は別としても高校生らしい青春を送っている様子で、幸せの絶頂と言ってもいいかもしれない光景が…
男性恐怖症で、手しか繋げないながらも幸せそうな2人がよくわかります。
逆に言えば、栞はデートを繰り返したり、蒼の気に入ること・役に立つことをすることでしか彼の愛をつなぎとめることができないということにほかなりません。
蒼もまた、栞と一緒にいる間は栞を第一に考え、ほかのことを考える余裕が無いように感じられます。
今までとは全く違う環境に急に放り込まれ、なじもうと一生懸命足掻いている様子がとてもうまく表現されていました。
そして家に帰れば愛歌からの強烈すぎる誘惑が待っています。
昼間の栞との”恋人”関係に嫉妬し、義兄に自分の強みをすべて生かした誘惑。
肉体的接触ができない栞に対して、蒼が”望めば”すべてを受け入れてくれる愛歌という存在は強烈な”毒”として蒼をむしばみ、自分がどこを向いているかも前後不覚に…
恋愛においてどちらが正解というのは無いと思いますが、愛歌の蒼に対する”本気”がとてもわかる場面が多く登場し、行為に流され、素に戻った時の蒼の自己嫌悪がまたリアルすぎて読んでいて痛々しかった。
正反対の2人に挟まれ、新しい”環境”、新しいことへの”挑戦”をする蒼の心労は無視できないところまで、、、
最終的にはどちらかを選ばなければいけない状況で蒼はどのような結論を選択するのか。
天秤が傾くきっかけは些細な事かもしれませんが、今後どのように蒼は過ごすのか…『選ばれなかった』方との距離感などとても次巻が気になるラストでした。