Vtuberってめんどくせえ!

ファミ通文庫

こんにちは♪

本日の一冊はこちら(*’▽’)

あらすじ

高校を卒業したばかりの男子、阿久津 零。 家族から家を追い出され、大学進学も勝手に辞退されてしまい路頭に迷っていた彼は、叔母である星野 薫子にスカウトされ、彼女が経営するVtuber事務所【CRE8】所属の男子Vtuberタレント『蛇道 枢』としてデビューすることとなった。 が、しかし……【CRE8】に所属するVtuberは彼を除いてすべて女性ということもあり、箱推しファンからの反感を買った蛇道枢(零)は、初配信から大炎上という事態に見舞われてしまう。 アンチコメや罵詈雑言に耐えながらも、生きるためにVtuberとしての活動を続ける零。 でも、やっぱり、本当のことを言わせてもらえるのならーー Vtuberって、めんどくせえ!!


おススメ度:★★★★★


 企業系Vtuberをネタにした作品ですが、インターネットの闇というべきか、こちらの言いたいことをはっきりと言ってくれた作品。

 たまたま女性配信者しかいない事務所に所属した”だけ”で炎上するという理不尽から始まり、『匿名』というアドバンテージから好きかっていうユーザーに対して行動しつつ、対処するというまさに現代で起きていることそのままの作品で、web版を読んで面白かったというよりもすっきりしたため今回購入。

 情報の真偽もそうですが、”企業”相手に自分勝手な憶測や願望を押し付ける害悪なユーザーでも”生活”のためには受け入れなければいけないライン。

 そして本作ではそこにプラスして、主人公の枢が十二星座にちなんだキャラたちを助けながらその時々の騒動を解決するというコンセプトもいい感じにはまっていました。

 web版では次の話は結構好きな話なのでそのままになるのか、何か変わってくるのかわかりませんが、続きが気になる作品です。

インターネットの”闇”

 本作でもっとも注目する点はやはりここだと思います。

 情報化社会となり、様々な場面でインターネットから情報を得られる時代ですし、それに伴い様々なコンテンツも作られています。

 最近の作品の多くで題材にされているVtuberもその一つでし、このブログもまたコンテンツの一つです。

 そんな誰でも”ある程度”情報が簡単に集められる環境ですが、その真偽に至っては恐らく多くの人は意識していないのでは?

 インターネット上でこういう情報があったと言われればそれを確認する作業はしますか?小説などのメディアでもそうですが、インターネット上の評価を見てから買う人も多いのでは?

 評価が低くてもその人にとっては面白い作品はあると思いますし、実際に触れてみなければわからないことも多くあると思います。

 しかし、時短やらインターネットに書いてあったからとその情報をうのみにして真偽を疑うことを行っていると思います。

 本作でもそのように真偽を確認せず、さらに自分に都合のいい情報のみを公開することでユーザーを扇動し、枢たちが所属する”企業”自体にも影響を及ぼしていましたが、それらをひっくり返すシーンは本当に爽快ですし、自分たちにも当てはまることを言ってくれているのでできるだけ多くの人に読んでもらいたいです。

 そしてもう一つ、『匿名性』について…

 よほどでない限り個人情報を一切漏らすことがなく、多くの人と繋がることができるSNSの発達によってその脅威は上がっていると思います。

 本作の枢はその性格によってある程度のスルースキルがありましたが、精神的に弱い人ならたちまち怖くなってしまうこともあると思います。

 誉め言葉や共感する言葉ならいいのですが、アンチコメントなどについては本当につらいと思います。

 書いている本人は相手から誰が書いているかわからないから平気かもしれませんが、書かれているほうはそのコメントを見てどう思うかはそれこそ千差万別で、その人の性格によってきます。

 匿名だからこそ書けることがあるかもしれませんが、その先には必ず”誰か”がいるということも再認識させられましたし、多くの人に認識し、もう一度道徳について考えてほしいです。

CRE8について

 本作で登場し、枢たちが所属する”企業”になりますが、その企業としての在り方が結構いいですね。

 枢自身は社長の甥という立場もあり、本来とは別の意図もあっての採用となっていますが、ほかの所属するVtuberには明確な採用基準があり、それをうまく作品に生かしていると思います。

 今回登場し、枢によって救われた羊坂芽衣も自分のかなえたい”夢”をもってVtuberとしての活動をしている中で、不当な炎上によってその精神を疲弊していきました。

 それでもなお、強い後押しと、枢の活躍によって今回の事件を丸く収め、自分の”夢”に向かって行動する姿は確かに光るものがあります。

 今回は2人しか登場していませんが、今後ほかのキャラが出てきた際にはどのような理由があり、どのような経緯で所属するに至ったのか楽しみです。

最後に

 Vtuberというコンテンツを使いつつ、それにまつわる情報社会の闇の部分で、普段言えないことを言ってくれるいい作品ですし、その中にもしっかりとストーリーやキャラクターもあるので本当に多くの人に読んでもらいたい一冊です。

 できることなら、ただ読むだけでなく、読んだ後でもいいので今巻で話題に上がったものについても考えてみてもらいたいです。

 周りが言っているから、周りもやっているから等流されることなく、真偽を確かめ、自分の行動を振り替えさせられる作品でした。

 次巻もとても楽しみです。

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