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あらすじ
それはきっと恋ではなく、それは間違いなく愛だった。
クラス一の美少女・朝比奈亜梨沙がある日作ってきたマズそうな弁当に、高校生・牧誠也は一目惚れした。
「朝比奈さんの弁当が食べたいから付き合って欲しい」。
彼のそんな告白にバカにされたと思った亜梨沙は怒って誠也をフるが、彼の諦めない純真さと、悩みに寄り添う優しさに次第に惹かれていく。しかしある時亜梨沙は、誠也の人には言えない秘密を見かけてしまい――。
二人の仲はどこへ進むのか、そして誠也が亜梨沙の弁当に惹かれる理由とは。
切なくて、苦くて、愛しくて、美しい。青春物語開幕。
おすすめ度:★★★★
感想
昨日に引き続きタイトル詐欺+くそ重な内容…
タイトル・表紙ともに甘酸っぱそうな雰囲気だしてるじゃないですか!!!
で、読んでみたらヤバい・・・
とりあえず主人公のバックボーン事態重く、それにつられるように彼の周りに集まる友人たちも一物抱えてるのがわかる…
それでも、心が壊れている主人公が『弁当』というきっかけから自分でもわからず行動する様子がぐっとくるものがある作品。
ジャンルにしてもラブコメというよりももはやヒューマンドラマのほうがしっくりきそうな内容にラブコメという味付けがされている感じ。
様々な”想い”から離ればなれになることになった主人公とヒロインはここから再会できるのか?
一応1巻っていう文字は見えるから続くと思っています。
心が壊れている主人公が今後どのように変わっていくのかとても楽しみ。
おそらく初めてお弁当(料理)をして、失敗したものを教室というみんなの目の見えるところで食べている様子を見て、その弁当を食べたいという動機から始まる物語。
幸せという『総量』が決まっているものを自らは我慢し、相手に『譲渡』するように育った主人公と父親に迷惑をかけないように常に”上”を目指し続けるヒロインが交わり、ヒロインは自分が”望む言葉”を、主人公は”心のこもった弁当”を求め合う少し歪な関係。
主人公の家庭事情自体は結構よくある話ですが、そのあとがヤバい。
最底辺まで堕ちないよう最後の一線のための防波堤のような『斡旋所』で働くことで、生活をしているようだが、そこに登場するママが結構心にくる言葉を口にするのだが、そのセリフも作品を重くしているのに一役買っているのは否めないが、その分深いことを考え、言葉にしているので本作の仲でも結構好きなキャラに。
主人公自体そんなだが、彼目線で物語は一切進みません!
すべて周りの人から見た彼を語っている形で、彼の真意についてはそれを聞く周りのキャラと同じように考察するしかありません。
だからこそ、彼の一言一言が重く、いったい何を考えて話しているんだろぉと更なる想像をさせてもらえます。
そしてそんな彼の周りにいるメンバーもまた彼を心配する気持ちが大きく、”いつか”彼を本当に助けたいと…
特に親友の存在はすごいですね。
彼の家庭環境をすべて知っており、だれよりも主人公のことを心配する彼は、過去に憧れを抱いていた主人公の母親の言葉を無意識のうちに守っていたことに…
複雑な人間関係にそれぞれの思惑。
そして『弁当』に込められた主人公にとっての”意味”が明かされた時、とても感動しました。
大好きだった”家族”が崩壊し、母親からも拒絶されなお自分だけは愛そうとした結果壊れた人形に心を与えた『弁当』というきっかけ。
とても素晴らしいヒューマンドラマなので、普段ラノベを読まない人にもおすすめです。