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あらすじ
「私も桐島くんのこと、二番目に好き」 俺と早坂さんは互いに一番好きな人がいるのに、二番目同士で付き合っている。 それでも、確かに俺と早坂さんは恋人だ。一緒に帰って、こっそり逢って、人には言えないことをする。 だけど二番目はやっぱり二番目だから、もし一番好きな人と両想いになれたときは、この関係は解消する。そんな約束をしていた。 そのはずだったのにーー「ごめんね。私、バカだから、どんどん好きになっちゃうんだ」 お互いに一番好きな人に近づけたのに、それでも俺たちはどんどん深みにはまって、歯止めがきかなくて、どうしても、お互いを手放せなくなって……。 もう取り返しがつかない、100%危険で、不純で、不健全な、こじれた恋の結末は。
おススメ度:★★★★★
リアリティをこれでもかと詰め込んだ作品で、タイトルからも察せられると思いますが、『純愛』を求める方は回れ右をしてください。
それでもかまわないという方はその面白さは保証しますので、是非読んでみてください。
話自体も登場キャラクターたちがどんどん深みにはまっていき、それぞれの想いとは別に感情に振り回されていく様はまさに現実さながらで、彼らがどのような軌跡をたどるのか楽しみな作品です。
出だしからヒロインの一人の『早坂さん』を付き合っているというところからスタート+とてつもなくいい雰囲気なので、なんだかんだ言って純愛ものかと思いきや、タイトル通り、お互いに1番に好きな人がおり、お互いに2番目に好き同士ということで付き合っているというこの時点で不健全極まりないスタート。
一応お互いに1番好きな人へのアピールも心がけるが、桐島とは違って早坂さんが壊れていく様子は見ていられないものがあります。
早坂さんにとって1番目に好きだった人は本当に『恋愛』での好きだったのか、それとも『憧れ』を恋愛感情だと勘違いしたのかはわかりませんが、桐島と関わっていくうちに自分の気持ちの変化に対応しきれなくなっていき、最初の印象からどんどん変わっていく様子が読んでいて心苦しい場面が多々ありました。
どのタイミングで1番目の『好き』が入れ替わったのかはわかりませんが、桐島への想いが話が進むごとに増していき、それと共に依存の度合いも増していっている状況は本当に現実であり得る心の動きだなと。
最初の想いから歪みに歪んだその想いはどこへ進むのか、それと以外にも早坂さんのほうがきわどい描写が結構あります…(最初は清楚系だと思ったんですけど、肉食系でした)
そして、忘れてはいけないもう一人のヒロインである桐島の『本命』の橘さんですが、こちらも話が進むにつれて印象が変わるキャラです。
最初は結構ミステリアスな雰囲気で、物静かというのが印象的でしたが、ある瞬間からそんな印象は吹っ飛んでいきます。
彼女もまた桐島によって歪められた人物で、過去のとある『要求』をただひたすら守り続けているというある意味狂気を感じるヒロインになっています。
一途と言えばそれまでかもしれませんが、彼女の行動の端々にそれ以上のものを感じることができます。
彼女のアプローチ自体は結構控えめですが、それでもインパクトはありますし、心理学に基づいた”ゲーム”を通じて桐島との仲を深めていこうとする姿には一種のフェチズムを感じます。
早坂さんとは違って直接的な描写は少ないですが、想像力を掻き立てられるという意味ではこちらのほうがヤバい描写に感じる人もいるかもしれませんね。
『綺麗』な物語を求める人にはとてもおすすめできる作品ではありませんが、とても現実に近く、『歪み』『妬み』『嫉妬』といったほの暗い感情が渦巻きながらも物語に飲み込まれていく作品です。
自分も何回か読み返していますが、読むたびに鳥肌が立つ展開が多く、彼らの心理描写も相まってとても良質な作品になっています。
もちろん、周囲のキャラも一癖も二癖もあるキャラが多く、そのすべての人たちが『現実』にありえそうな個性をしているのも魅力の一つです。
『2番目』同氏というどうしようもない関係を築きながらも、お互いの『1番』も同時に攻略しようとしている2人でしたが、その絶望的なバランスが崩れた時、どのような結末が待っているのか楽しみな作品です。